2012年02月06日

救いがなくて悲しすぎるけれど。 〜映画「サラの鍵」〜 かひがらさらりこ#122

先週の寒波、大雪、ご無事でしたでしょうか?

先週中頃の極寒を体感すると、8〜9℃まで気温が上がるともう春のようだから不思議。
養育費・月600万円と報道されたあとに実は200万円ですよ、と訂正されて「あぁ、ほんとは謙虚な人なんだね〜」と思ってしまったあの感覚と同じでしょうか?

立春を越え、陽光に春をも感じられる日曜、にふさわしくない暗くて悲しい映画を見てまいりました。

「サラの鍵」
監督 ジル・パケ=ブレネール
主演 クリスティン・スコット・トーマス
http://www.sara.gaga.ne.jp/



1942年7月16日、パリ。
フランス警察によるユダヤ人一斉検挙が始まる。
少女サラは小さな弟を救おうと、彼を納戸に閉じ込め鍵をかける。
「すぐに戻るから」と約束して。

2009年、パリ。
ジャーナリストのジュリア。
仕事も順風、家庭も円満。

上のヴェルティヴ事件(フランス警察がユダヤ人を検挙、競輪場に軟禁後、強制収容所に送る)の取材することとなったジュリア。
自分の家族に隠された少女サラとの接点。

二つの異なる時代に生きる人物の人生が交錯しながら点で繋がる・・・。

とりわけ斬新な手法でもないし、派手なキャストやスタッフでもないし。

それでもこの作品が印象深く、原作ともども評価が高いのは、単にアメリカでウケのよいホロコーストものだから、ではなく 二人の人間の生き方の話だから、だと思う。




この先、結末にふれる...かもしれないので、見る予定の方は読まないでくださいね。





魂の底から変わりたくて変わりたくて、それでも「助けて」と言えず心の闇に囚われてしまったサラ。
真実を知って誰が幸せになるのか?歴史が変わるのか?と絶望しつつも、自分から変わるしかなかったジュリア。

サラがそうするしかなくて納戸に弟を隠したように
ジュリアもそれ以外に術がなく、サラの鍵を開けた。

サラの心の鍵を開いて、その悲しみを知ることで、ジュリア自身、自信に満ちた感じが薄れ、どちらかといえばどんどん弱々しくなっていく印象すら感じられる。
しかし、葬られた過去の真実を明るみにする残酷さや第三者としての傲慢さを身を以て知っていく彼女の姿は、とても慎ましく優しくなっていく。

最後、ジュリアは答えを見出したのか?というとそうでもなさそうで、彼女なりに人生の変容を悔いているところを少し見せたりもする。
彼女に唯一できたのは、真実を知り、悲しみを知ること。

こう書いてしまうと、なんと歯切れの悪い映画!と思われてしまいそうだけれど、それが人生であり、選択ではないか。

確かに、勧善懲悪!とジュリアがバシバシと真実を明るみにして、それにフタしてきたいろんな人々も「あぁ、自分は間違っていた!あぁ、サラよ、許しておくれ!ヒトラー許すまじ!」とさせても、それはそれで、別の良い映画になったかもしれない。

でも、そうじゃないところが、悲しすぎる過去を土台に敷くこの作品が静かな希望の余韻を抱けるものにしているのだと思う。

答えが分かっていて選択できることなんて人生においていくつあるのだろうか。
生きることはゴミの分別ではない。
これはこっちで、あれはそっち、と分かりきったルールが通用することの方が少ない。
自分や誰かを傷つけて、大切なものを永遠に失って、そんなことの繰り返し。

重たいです。
悲しいです。
サラのストーリーについては本当に悲しくて救いが無い。

おまけにサラの子役の演技がものすごいので、ホロコーストものの印象が強い。

でも これは、誰かの生きた轍をなぞらえることで悩みながらも変わっていく、一人の女性のお話でもあります。

こうなりたい!と変わっていくのも魅力的だけれど、何かによって変えられていく姿も美しい。

映画は2月10日まで!
残り少ないけれどお時間のある方、ぜひ。


ニックネーム ロヲラ at 02:07 | ロヲラ
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